23区の正体? ‐02‐
前回述べたとおり、日本の地方自治制度は「日本国憲法」に根拠づけられていますが、その日本国憲法が誕生したのは1947(昭和22)年の5月3日のことです(公布が1921年11月3日;施行が1922年5月3日。その施行日の5月3日が「憲法記念日」という祝日になっていますね。
さて、その憲法と同じ日、つまり、1947年5月3日に誕生した法律があります。「地方自治法」です。
「日本国憲法」の第92条に「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」とありました。その「法律」がまさに「地方自治法」ですね。
地方自治法には、冒頭から明記されています。
第一編 総則 第一条 この法律は、地方自治の本旨に基いて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする。
要するに、地方自治について憲法が要請するところを実現するための法律で、地方自治に関する基本法という位置づけになります。
その地方自治法には、次の条項が出てきます。
第一条の三 地方公共団体は、普通地方公共団体及び特別地方公共団体とする。 ② 普通地方公共団体は、都道府県及び市町村とする。 ③ 特別地方公共団体は、特別区、地方公共団体の組合及び財産区とする。
*赤字は引用者が施す
いよいよ、ここで「特別区」が登場します。さらに、ずっと下って「第3編 地方公共団体」というものがあります。その中、第81条で、
第二章 特別区 (特別区) 第二百八十一条 都の区は、これを特別区という。
*赤字は同前
このように規定されています。言わば、地方自治法が23区の“名づけ親”なのですね。
~to be continued~
〔小口達也〕
23区の正体? ‐01‐
東京都の中に「23区」があるということは、多くの方がご存じです。このサイトは、東京都内23区のことをもっぱら関心の対象としています。では、そもそも、その「23区」とは、一体何者なのでしょうか? 改めて、この基本について記しておきたいと思います。
「23区」とは、地方公共団体の一種です。地方公共団体とは、通称「地方自治体」あるいは「自治体」と呼ばれ、こちらの方がはるかになじみがあるかと思います。ほかに「地方政府」などという呼び方もあるにはありますが、そうした呼び方については賛否両論がありました。これについては、また別の機会があれば。
ともあれ、23区は地方公共団体(地方自治体)の一種ですが、では、「都(府・県)」や「市・町・村」と同じようなものなのでしょうか? 実は、ほんの少し違います。都道府県や市町村が「普通地方公共団体」であるのに対して、東京の23区は「特別地方公共団体」というものです。
この両者の違いについては後述しますが、「地方公共団体」というものは、日本国憲法に根拠を持ちます。日本国憲法には「第八章 地方自治」というものが設けられています。
第 八 章 地方自治 第九二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律 でこれを定める。 第九三条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。 (2) 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。 第九四条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を 有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。 第九五条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その 地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。
――「日本国憲法」より
このように、日本国憲法は地方自治の本旨に基づく地方自治制度の組織と運営の原則を定めていますが、地方公共団体はある一定の地域を存立の基礎とします。そこで、その区域に住む住民を構成単位として組織された法人格を持つ団体が「地方公共団体」と名づけられています。「法人格を持つ」、要するに法人なのですね。同時に、国とは別の法人格を有する。ここがポイントとなるでしょう。
~to be continued~
〔小口 達也〕